山形県迷惑行為防止条例をここに公布する。
平成 24 年3月 21 日
山形県知事 吉 村 美 栄 子
山形県条例第 47 号
山形県迷惑行為防止条例
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和 46 年7月県条例第34 号)の全部を改正する。
(目的)
第1条 この条例は、県民及び滞在者等に著しく迷惑をかける行為を防止し、もってその生活の平穏を保持することを目的とする。
(粗暴行為の禁止)
第2条 何人も、道路、公園、広場、駅、興行場、飲食店その他公衆が出入りすることができる場所(以下「公共の場所等」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他公衆が利用することができる乗物(以下「公共の乗物」という。)において、通行人、入場者、乗客その他の公衆に対し、いいがかりをつけ、すごむ等不安を覚えさせるような言動(第5条第2項の規定により禁止される言動に該当するものを除く。)をしてはならない。
2 何人も、祭礼又は興行その他の娯楽的催物に際し、多数の人が集まっている公共の場所等において、正当な理由がないのに、わめき、人を押しのけ、物を投げ、物を破裂させる等その場所における混乱を誘発し、又は助長するような言動をしてはならない。
(卑わいな行為の禁止)
第3条 何人も、公共の場所等又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。
(2) 衣服等で覆われている人の下着又は身体をのぞき見し、又は撮影すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
2 何人も、正当な理由がないのに、公衆が利用することができる浴場、便所、更衣場その他公衆が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所において当該状態でいる人の姿態をのぞき見し、又は撮影してはならない。
(不当な金品の要求行為の禁止)
第4条 何人も、公共の場所等又は公共の乗物において、通行人、入場者、乗客その他の公衆に対し、つきまとい、進路に立ちふさがり、いいがかりをつける等迷惑を覚えさせるような言動(第2条第1項の規定により禁止される言動に該当するものを除く。)により、金品を要求してはならない。
(押売行為等の禁止)
第5条 何人も、住居その他人の現在する建造物を訪れて、物品の売買、貸付け、交換若しくは配布、物品の作成、加工若しくは修理、遊芸その他の役務の提供又は広告若しくは寄附の募集(以下「売買等」という。)を行うに際し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 売買等の申込みを断られたにもかかわらず、物品を展示し、座り込む等をして、速やかにその場から立ち去らないこと。
(2) 犯罪の前歴を告げ、暴力的性行をほのめかし、いいがかりをつけ、住居、建造物、器物等にいたずらをする等不安を覚えさせるような言動をすること。
(3) 身分、物品の内容その他の事実を著しく誤解させるような表示又は言動をすること。
2 何人も、公共の場所等において、不特定の者に対して売買等を行うに際し、不安を覚えるような著しく粗野又は乱暴な言動をしてはならない。
3 何人も、依頼又は承諾がないのに、物品の配布、物品の作成、加工若しくは修理、遊芸その他役務の提供又は広告を行って、その対価を執ように要求してはならない。
(客引き行為等の禁止)
第6条 何人も、道路その他公共の場所において、不特定の者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人の性的好奇心をそそる見せ物、物品若しくは行為又はこれらを仮装したものの観覧、販売又は提供について、客引きをし、又は呼び掛け、若しくはビラその他の文書図画を配り、若しくは提示して、客となるよう誘引をすること。
(2) 歓楽的雰囲気を醸し出す方法で客をもてなして飲食をさせる行為又はこれを仮装したものの提供について客引きをすること。
(3) 深夜(午後 10 時から翌日の午前6時までの間をいう。)において専ら人の身体に接触して行う役務又はこれを仮装したものの提供について客引きをすること。
(4) 人の性的好奇心をそそる見せ物、物品若しくは行為を観覧させ、販売し、若しくは提供する営業又は専ら歓楽的雰囲気を醸し出す方法で客をもてなして飲食をさせる営業に関する情報の提供に係る利用者となるよう勧誘すること。
(5) 次に掲げる行為について、当該行為をする役務に従事させる目的で勧誘をすること。
イ 人の性的好奇心をそそる行為(当該行為を撮影するための被写体となる行為を含む。)
ロ 歓楽的雰囲気を醸し出す方法で客をもてなす行為
(6) 前各号に掲げるもののほか、執ように、客引きをし、又は役務に従事させる目的で勧誘をすること。
2 何人も、対償を供与し、又はその供与の約束をして、他人に前項の規定に違反する行為をさせてはならない。
3 何人も、道路その他公共の場所において、不特定の者に対し、専ら歓楽的雰囲気を醸し出す方法
で客をもてなして飲食をさせる行為又はこれを仮装したものの提供について、呼び掛け、又はビラその他の文書図画を配り、若しくは提示して、客となるよう誘引をしてはならない。
4 警察官は、前項の規定に違反して誘引をしていると認められる者に対し、当該誘引をやめるべき旨を命ずることができる。
5 何人も、第1項第1号から第5号までに掲げる行為(以下「客引き等」という。)の状況等を勘案して、この項の規定による規制を行う必要性が高いと認められるものとして公安委員会規則で定
める地域内の道路その他公共の場所において、客引き等を行う目的で、客引き等の相手方となるべき者を待ってはならない。
6 警察官は、前項の規定に違反して客引き等の相手方となるべき者を待っていると認められる者に対し、当該客引き等の相手方となるべき者を待つことをやめるべき旨を命ずることができる。
(入場券等の不当な売買行為等の禁止)
第7条 何人も、入場券、観覧券その他娯楽施設を利用することができる権利を証する物(以下「入場券等」という。)を不特定の者に転売し、又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため、入場券等を公衆に発売する場所において、入場券等を買い、又はうろつき、つきまとい、進路に立ちふさがり、呼び掛け、若しくはビラその他の文書図画を配布し、若しくは提示して、買おうとしてはならない。
2 何人も、転売する目的で得た入場券等を、道路その他公共の場所において、不特定の者に売り、又はうろつき、つきまとい、進路に立ちふさがり、呼び掛け、若しくはビラその他の文書図画を配布し、若しくは提示して、売ろうとしてはならない。
(危険行為の禁止)
第8条 何人も、人が遊泳している場所又は手こぎのボートその他の小舟が回遊する場所において、みだりに、モーターボートその他の原動機を用いて推進する舟艇を急に旋回し、疾走させる等、遊泳している者又は手こぎのボートその他の小舟に乗っている者に危険を覚えさせるような行為をしてはならない。
2 何人も、海浜、湖畔、河川敷地、公園等において、みだりに、自動車、原動機付自転車又は軽車両を乗り回して、当該場所にいる者に危険を覚えさせるような行為をしてはならない。
(嫌がらせ行為の禁止)
第9条 何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、次に掲げる行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成 12 年法律第 81 号)第2条第1項に規定するつきまとい等を除く。)を反復して行ってはならない。この場合において、第1号から第4 号までに掲げる行為については、身体の安全、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限るものとする。
(1) つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居等の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。
(2) その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
(3) 面会その他の義務のないことを行うことを要求すること。
(4) 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
(5) 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。
(6) 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催されるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
(7) その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
(8) その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置くこと。
(罰則)
第 10 条 第3条又は前条の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は 50 万円以下の罰金に処する。
2 常習として前項の違反行為をした者は、1年以下の懲役又は 100 万円以下の罰金に処する。
第 11 条 第6条第2項の規定に違反した者は、100 万円以下の罰金に処する。
2 常習として前項の違反行為をした者は、6月以下の懲役又は 100 万円以下の罰金に処する。
第 12 条 次の各号のいずれかに該当する者は、50 万円以下の罰金に処する。
(1) 第2条の規定に違反した者
(2) 第4条の規定に違反した者
(3) 第5条の規定に違反した者
(4) 第6条第1項の規定に違反した者
(5) 第7条の規定に違反した者
(6) 第8条の規定に違反した者
2 常習として前項の違反行為をした者は、6月以下の懲役又は 50 万円以下の罰金に処する。
第 13 条 第6条第4項の規定による警察官の命令に違反した者は、30 万円以下の罰金に処する。
第 14 条 第6条第6項の規定による警察官の命令に違反した者は、20 万円以下の罰金に処する。
(両罰規定)
第 15 条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第 11 条第1項、第 12 条第1項第3号から第5号まで及び前2条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
(適用上の注意)
第 16 条 この条例の適用に当たっては、県民及び滞在者等の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。
附 則
1 この条例は、平成 24 年7月1日から施行する。
2 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。