「婚姻を継続し難い重大な事由」という条項が、民法第770条第1項第5号の離婚事由にあります。

しかし、婚姻を継続し難い重大な事由とはいったい何を表しているのでしょうか?

どういう状態が「重大」で「婚姻を継続し難い」のか?

ここでは、

「婚姻を継続し難い重大な事由」の判例から見た判断ポイントを7項目あげてみます。

①相手からの暴力・暴言・侮辱

所謂、DVです。後々証拠として説明できるように、ICレコーダーやスマホを使った録音や録画をするべきです。また、病院などへ行き診断書を書いてもらうべきです。

②セックスレス・性的異常

セックスレスに関すれば、「1年以上のセックスレス」が原因になるとの判断もするし、十人十色の夫婦関係であるから、「セックスレスにならない。」と判断する弁護士もいます。また、異常な性行為を強要するケースも原因になります。

③嫁・姑問題(親族との不和)

家庭裁判所での調停申立ての理由として「配偶者の親族との不和」は上位に入ることがよくあります。配偶者の両親・親族であったとしても、基本的に尊重されるべきは夫婦生活とその家庭ですので、配偶者間は積極的に問題解決をしなければなりません。

④宗教や信仰上の対立・過度な宗教活動

信仰や宗教活動の自由は憲法で保障されています。
そのため、例え夫婦間でも信仰が違うなどで離婚はできません。しかし、宗教にのめり込みすぎて、家族に損害を与えるケースでは離婚が認められる可能性があります。

⑤犯罪行為をして服役している

配偶者が犯罪を犯し服役する場合においても、すぐさま離婚が認められるわけではありません。何度も犯行を繰り返す、服役が長期間に及び、残された配偶者や子供に重大な支障を与え、結婚生活の継続が困難という立証ができて初めて、離婚原因となります。

⑥浪費癖などの金銭問題

極度の浪費癖・ギャンブル、それに伴う多額の借金などがあります。これも度を越していることが客観的に判断できないといけませんので、買い物・ギャンブルの頻度や投じた金額、借金の額を明確にしておく必要があります。

⑦長期の別居により婚姻関係が破綻

長期間(5年以上)の別居生活も婚姻関係が破綻する原因です。夫婦喧嘩が元で妻が家出をし、長期間別居状態のケースでは夫婦関係が破綻しているといえます。このような場合は婚姻を継続し難い重大な事由として認められるでしょう。

 

ポイントは、「婚姻を継続し難い重大な事由」は第三者にいかに感情的にならずに説明できるのか?です。証拠収集を日常から行って、客観的に説明できる事前準備が出来ているのか?が大きなポイントになるようです。